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思考の自動化というのは、私が以前ストレスについて考えていた時に、思いついた言葉です。
だから、辞書などには載っていませんし、一般的ではない言葉です。

以前、色々と自分の思考過程を考えてみた時、「どうしてこんなにもスピーディーに、人同士の会話が成り立つのだろう」と思ったんですね。
だって、作文なんかを作る時だって、今見ているブログだって、結構なスピードで打ち込んでしまいます。
それはもちろん、考えながらではありますが、個人的には凄く早いなと思ったわけです。

本当に自分は、考えながら打っているのだろうか???

そんな事を考えていると、思考とストレスとの結びつきが分かります。
実は頭で色々考えているようで、意外と考える場面なんて限られているんじゃないか、と思ったんです。

会話を考えてみると、結構、反射的に言葉が出ていることがわかります。
考えながらでは、こんなに早い判断はできません。

そこで私は、「この状況」において、自分の口から出る言葉は「予め用意されているものから、選んでいるだけ」であり、意外にも「選択肢は少ない」という結論に達しました。
少ない選択肢の中から選んでいるので、すぐに言葉が出てくるというわけです。

考えている部分は少しで、そのほとんどは「反射的に」口をついて出てきます。
反射的に、思考を選んでいるのです。

では、その選ぶ元となった「選択肢」は一体どこから出てくるのでしょう。
これらは全て、過去の経験から考え、個人的な選択肢として自分の中に蓄えているわけです。

今、自分がいる状況でどんな感情を採用するか、思考を自動化して省力化し、スピードを高めているわけですね。

では次に、思考を自動化する過程の例を出してみましょう。

例えば子供の頃、可愛らしく見える「犬」が目の前にいたとします。
「可愛いなぁ」と、思わず手を出したところ、犬がびっくりして吠えられてしまったとしたらどうでしょう。

人によっては、「急に知らない子どもから手を出されたら、びっくりさせてしまって可哀想だ」と思うかもしれません。
しかしまた別の人にとっては、「犬は怖い。だって、近寄っただけで大きな声で威嚇してくる!」と思うこともあるでしょう。

今回は「犬は怖い!」を採用した場合です。
このケースだと、「犬は近寄ると吠えてくるから怖いと、自分の中では納得した」わけです。

納得した考え方なので、この人の中では「常識」となります。
一種の世界観が出来上がっているわけで、「犬=怖い」と思考が自動化します。

つぎからこの人は、怖いものを避ける、つまり犬には気をつけるようになるはずです。
そしてこの自動化が、ストレスを作り出しているのです。

例えば、「上司=嫌味なことを言う」とか、「お母さん=痩せろとうるさい」などの自動化があれば、上司やお母さんが近づいてくるだけでストレスを感じます。
今は何をされているわけでもないのに、反射的にストレスを感じるわけですね。

感情療法は、この思考の自動化をリセットし、余計な条件反射を終わらせます。
リセットされてしまった後は、「私はどうして、こんなことを気にしていたんだろう」と思えるようになります。

ストレスの多い人は、世の中に「重要なこと」が多すぎる人です。
いらないストレスは手放し、身も心も楽になりたいものですね。